しあわせはっぴーにゃんこ感想

しあわせはっぴーにゃんこの感想を書きます。(前半)


全部に対して書けるわけじゃないのですが、ちょっとずつ書きたいです。

 

 

しあわせは何の味 あたさん

 

 

 

個人的に留学経験があるのですごく共感できた。

 

あまりこういうグルメレポートのような文章を読まないので新鮮でした。

 

紹介されるために脚色されたものではなく、等身大の姿で描かれるパキスタンの料理。

 

最初の朝に食べるオムレツの書き方とか。思わずお腹押えました。

 

それに周りにあふれる鷹揚なパキスタン人たちの人柄にほっこりしました。

 

最後の一章できっかりまとまっていて、好きです。

 

 

 

 

 

導けよ烏、君のいる場所まで かみしのさん

 

 

 

「大切なのはバランスではなく物語だ」

 

勝手に思うけれど、物語に大事なのは始まりと終わりだと思う。

 

この小説は彼女に去られて傷心しているところから始まる。でもただ傷心してるわけじゃなくて、彼女の面影を追って思い出の土地を巡っている。

 

物語がはじまるのは井戸に落ちてからのように思えるけど、そうでもない気がする。

 

「このまま部屋とコンビニを往復する生活を繰り返していたら何かが終わってしまう気がした。」

 

と主人公が思うシーンがあるけれど、ここでいう「何か」は物語を指すのではないかと思う。

 

その生活から脱して、六道珍皇寺に向かうところから物語(幸福を追い求める)は始まるのだと思う。

 

 

 

 

 

ありとある物語の物語 木野誠太郎さん

 

 

 

すごく面白かった。

 

まず文章の書き方がすごく好き。木野誠太郎さんの男性目線の書き方は毎回ツボ。

 

ペンギン・ハイウェイ』の主人公みたいに、幼いながらちょっと大人びてるというか。

 

でもそちらよりこっちのほうが好き。

 

素直な文章で、入り込みやすい。

 

アイシンカクラや大崎さんに対する気持ちや、情景描写がすごくいじらしい。

 

私はあまり頭がよくないので、多くのものが二つに分かたれたあとの話は言葉通りにしか受け取れなかったけれど、それでも面白かった。

 

考えたい人は考えればいいけれど、考えないまま読んでも面白い小説だった。

 

大崎さんとアイシンカクラの板挟みになる主人公とか、『ことばまじん』や『思想船』の設定もすごく好きだ。

 

「夢であった少女」のようにタイトルにもきっと意味があるのだろうけれど、わからなかったのでちょっと悔しいです。

 

個人的には、アイシンカクラが一度も正しく主人公の名前を呼んでいないこととか、

 

作家の名前を探すところとか。名前がなにかのキーになってるのかなと思いました。

 

長いけれどすらすら読めるのは、地の文が安定しているのと、会話文が自然だからだと思います。